【怪異の中にも人情が】怪奇蒐集者《コレクター》 山田ゴロ【にしても田舎の因習は恐ろしい】
落語のジャンルに人情噺というものがあります。「おいおい、笑いに来たのにウルっときちまったじゃねえかこの野郎」なお噺です(有名どころでは「芝濱」とか「百年目」あたりが好み)。怪異譚にも人の情けが織りなす切ない系のお話が。「おいおい、ビビりに来たのにウルっときちまったじゃねえかこの野郎」な怪談です(怪談も立派な落語の1ジャンルなのですが、そこはまあ置いといて)。そんな血を流さず通わす語り口を身上とするのが、 「怪奇蒐集者《コレクター》 山田ゴロ」(2018年/横山一洋監督) 漫画家山田ゴロが幼年期の思い出を綴る昔語りの怪異譚。戦後間もない田舎の村で色々と“見えてしまう”目を持っていた五郎(本名:山…